バーチャルYoutuberはジャンルなんかじゃない
という温めてきた個人的解釈をここに書き記しておきたい。
自分は去年の2月半ばからキズナアイちゃんを知ってしばらく追ってたし、12月の爆発的な流行から今に至るまでニートの有り余る時間を使ってこの界隈を追っかけ続けてきている。
現在絶賛ほったらかし中だが、バーチャルYoutuber用のサブブログを作って記事を書いてたくらいには好きだ。
そしたらここのところチマチマとしょうもない記事を書いていた自分の目に
「Vtuber市場、供給過多で早くも飽和気味」とかいうブコメが沢山ついてるバーチャルYoutuberの記事が飛び込んできたじゃないですか。
まぁ記事っていうか内容全てTwitter引用だけのまとめ(笑)だったけど。
また最近、バーチャルYoutuberさん自身からこの界隈の行く末について、あるいは衰退論的な話が出たりして一部で話題にもなっていた。
どっちもなんか違うんだよなぁ~ と正直自分は思った。
いや別にそんな的外れなこと言ってたとかではなく、バーチャルYoutuberというものの捉え方が違うなって。
狭義のバーチャルYoutuber
バーチャルYoutuberという言葉を2つに分解したとして彼らはどちらかというと「Youtuber」のお話をしているわけね。
再生数が横ばいだの、一部以外の個人勢の登録者が伸び悩んでるだの、リアルのYoutuberと比べてコストがかかるだの、出来ることの幅がまだ狭いだの。
これはデジタル、キャラクターコンテンツの一ジャンル、はたまたYoutuberの中の一ジャンルとして捉えているってことだとすれば間違っちゃあいない。
確かに、バーチャルなキャラクターがYoutubeなり他のプラットフォームなりからで広く食っていけるようになるまで成長することは、継続性の観点から重要なことだし、そうなったら夢のあることだと思う。
でも、あえて大げさな言葉を使うけど、バーチャルYoutuberの本質ってそこ?
キャラクターがいて、コンテンツを提供して、ファンが消費する。そんな世の中に腐るほどある、単に消費されいつかそんなのもあったよねと言われるかも知れぬただの一ジャンルなのか?
いいや、違うね。そんなチャチなもんじゃないはずだ。
自分はもっと広い概念でバーチャルYoutuberってものを捉えている。
広義のバーチャルYoutuber
バーチャルYoutuberが決定的に他のジャンルと違う点は、リアルの肉体とは別に、バーチャルの肉体も持てるんだよっていう新しい価値観を、バーチャル上だけに留まらず、現実世界にも徐々に侵食しながら、我々にその身で以て教えてくれていることにある。
ただ可愛いとか面白いとか目新しいとかじゃなくてさ、もっと別次元の話なわけよ。
コンテンツという「中身」よりも、その「中身」を何に入れて届けているか、その「入れ物」でやっていることでバーチャルという新しい選択肢を提示してくれている、そのことにこそバーチャルYoutuberの意義がある。
そこで自分が考える広義のバーチャルYoutuberとは、「リアルの肉体ではない、バーチャルな身体性のあるアバターでの表現形態、あるいは活動形態」だ。
ここで重要なのは、身体性が強く感じられるところにある。
アバター自体はそれこそかなり前から至るところに存在している。Twitterのアイコンだってアバターみたいなもんだし、ユーザーが操作するゲームの3Dキャラクターだってアバターだ。
それでも多くのバーチャルYoutuberがそれらと違って特徴的なのが、トラッキングをしており、本人とアバターの身体がリンクした表現がある程度可能なことにある。
こういう言い方が適切なのかは分からないが、本人の肉体の延長線上にあるように感じられることで、アバターがもう一つの自分の肉体であるかのような認識が格段に高いのだろう。
このことを非常に端的に表したものが、バーチャルYoutuberミソシタの『革命前夜』の歌詞にある。
Realじゃないが Fakeでもない
俺らはVirtual
バーチャルyoutuber ポエムコア『ミソシタ#11』革命前夜 - YouTube
リアルの身体とはもちろん違うし、かといって肉体との連動性がかなり薄いそれまでのアバターのように見せかけのものではない。
見かけはフェイクのようだが、実態はリアルに近い新しいスタイル、「バーチャル」だと。
要は新たな活動スタイルなんだよ、それもリアルかバーチャルかっていうくらい射程が広い。
リアルってジャンルですか???
んなわけなーよなぁ!!
つまりバーチャルもそういうことだよ。
ただ、『バーチャルYoutuberはジャンルなんかじゃない 』というタイトルだが、
正しくは『(自分の考える広義の)バーチャルYoutuberはジャンルなんか(に収まり切る概念)じゃない』であり、狭義のバーチャルYoutuberはジャンルであることは間違いない。
上記に挙げた活動スタイルの概念を一言で表せる言葉がまだない上に、バーチャルYoutuberの出現とそれに対する反響が確実にエポックメイキングな出来事だったので、便宜上バーチャルYoutuberという言葉で説明しているだけのことである。
あるいはバーチャルYoutuber出現以前は、単に現実のものではなく、リアルとほぼ切り離されたものというニュアンスで多く使われていた「バーチャル」がそれを表す言葉にこれからなっていくのかもしれない。
とはいえ、狭義のバーチャルYoutuberと広義のバーチャルYoutuberの区別がややこしいので、この記事では広義の方を「バーチャルスタイル」とでも名付けようか。
バーチャルYoutuberとバーチャルスタイルの行く末
冒頭にあった、バーチャルYoutuberというジャンルがこれからどうなっていくのか?みたいなのに関しては、いや知らんがな、だよ。
現状リーチ出来る層がまだまだ薄いし、バーチャルYoutuber自体の多様性はあれどニッチなもので伸びるのはかなり厳しいし、技術力がなければ資本が出来ることに直結してくるし、個人勢は完全に企業勢と同じ土俵に立たされているしで、既存のYoutuberと比べて食ってくのがキツそうに見えるのはまぁねって感じ。
でも当事者のバーチャルYoutuber自身が考えるならともかく、あんまりファンがうだうだ先のこと杞憂するくらいなら、コメント欄やらTwitterにでも感想書いたり、ちょっぴりお金を出したりして活動を応援するほうが100万倍有益なことだよ。
そして仮に将来バーチャルYoutuberが一握りの企業勢以外、軒並み淘汰されてしまったとしても、「バーチャルスタイル」自体は1億%これからは当たり前のことになっていく。
これにはニートである自分のなけなしの全財産賭けてもいいくらいの確信がある。
・変身願望
まず自分のものではない身体になってみたいという需要はまぁかなりある。
それが身体的コンプレックスによるものだったり、加齢によるものだったり、はたまた純粋に美少女になってみたいとかだったりかは様々だろうが。
ARでリアルを補正するみたいな方法も出てくるかも知れないが、現実とかけ離れている場合にはバーチャルでなければ無理だろう。
・VR世界
また、現実世界ではなく仮想世界に行ってみたいという需要、まぁVRだね、これも多くの面白いコンテンツと比較的安価なデバイスが出れば爆発的に今より伸びるだろう。
VR会議みたいな距離の制約を取っ払う系はかなり来そうだと思ってるけどなぁ。同じ空間にいられるから共有できるものの多さがリアルにかなり近づくし。
そうすっとVRに行くとなればリアルの肉体じゃあ無理なので、当然バーチャルな身体が必要となる。
・ARの普及
あとはARが普及したら、リアルとバーチャルの世界の境界がどんどん曖昧になって凄いごちゃ混ぜになっていくと思うんだよね。今ですらあたかもバーチャルの存在がリアルにいるみたいな技術が出来てきている。
そういうどちらも混在していることが普通の感覚になれば、そらバーチャルの活動範囲はリアルにももっと広がるし、バーチャルスタイルも普通のことになるのでは。
このような時代が到来するとしたら、今のネットにあるハンドルネームみたいなその個人を表す記号の一つとして、バーチャルのアバターもそれに加わるくらいポピュラーなものになるのではないかと思っている。
今はこの「バーチャルスタイル」の中で、何らかのコンテンツを動画や生放送で提供する活動をしているバーチャルYoutuberが目立った存在ではあるけど、コンテンツを提供してなくたってバーチャルのアバターを使っていれば「バーチャルスタイル」であることに変わりはない。
そしてそういうもっとカジュアルなバーチャルのアバター社会がこれからより広く形成されていくであろうことに何一つ疑いを持っていないし、そんな社会であればバーチャルYoutuberに限らずバーチャルのアバターで何かパフォーマンスをすること自体ありふれたものになっているだろう。
だから今の時点でバーチャルYoutuberが衰退していっちゃう~とかだかは全くもって気にする必要がない。せいぜい「バーチャルスタイル」の広まりが、遅くなるか早まるかくらいの違いしか生まれないのでは?
もちろん推しのバーチャルYoutuberの活動が危ぶまれることはあるかもしれないが、繰り返しにはなるけどもそれに対してファンが出来ることは活動を応援し続けていくことくらいだろう。
しかし、そもそも「バーチャルスタイル」の需要が増えれば自ずと活動コストも下がっていくだろうし、金にならずとも本人にやる気があれば趣味で続けていくことくらいは出来るんじゃないかな。
まぁリアルじゃないがフェイクでもない、この「バーチャル」というものにまだまだ馴染みがなく、今はまだよちよちと歩き始めたくらいなもんだからね。
そう、言うなれば
ようやくのぼりはじめたばかりだからな
このはてしなく遠いバーチャル坂をよ…
え?打ち切りフラグだって?
いやいやご安心下さい。
元ネタの「男坂」は30年経ってきちんと再開しています。
同じく30年もあれば、 「バーチャル」に対応した人類に