ニート述懐

取りこぼしてきた社会性をすぐ拾えるようにしておきたい

エモいという言葉が内包するもの

 

ちょっと前からのこの言葉については聞いていたが

最近よく耳にするようになり、使われる場面に特徴があるなと

感じているのでそれについて書きたい。

 

元々は音楽のジャンルでうんたらかんたらとかいう

語源についてはどうでもいいので省く。

「ヤバい」と同じようにカジュアルに使われているといった話も聞くが

もう少し限定されたニュアンスで使用されていると個人的には思う。

 

「エモい」とは、ハイコンテクストなストーリー性のあるものが対象から感じ取られ、それに伴って発生した感情を表す時に使われていることが多いと思っている。

 

エモいの代表的な具体例みたいなのがないからうまい説明が難しいんだけど

例えば今夏なので、Whiteberryの「夏祭り」という曲にエモさを感じたとする。

 

この曲ってくっそ雑に要約すると、好きな人と昔夏祭りに行ったことがあったねって話なんだけど、歌詞のワードで打ち上げ花火・浴衣姿・金魚すくい・綿菓子・線香花火とか色々散りばめられてるの。

 

これってさ、たぶん日本人以外が聞いてもあんまりピンとこないと思うんだよね。

でも大半の日本人はなんとなく共感できたりする曲なんだと思う。

なぜなら夏休みに好きな人と夏祭りに出掛けて花火を見に行くの凄く良いよね!っていう価値観が広く共有されているものであるから。

しかも、普段は着ない浴衣姿であったり、出店では金魚すくいやわたあめとかがあるっていうのも連鎖的に想像が容易に出来てしまう。

昔似たようなことを経験した人はあぁそんなこともあったなという思いに浸れるし、実際そういう体験がなかった人でもこういうのあったらなぁとか逆に自分の現実とのギャップでくるものがあるかもしれない。

 

これは夏休み=夏祭り=青春みたいな図式が、日本で普通に生活していればメディアなりなんなりで植え付けられる文化なんだわな。

 

これとは少し違うが、似たようなものの例として好きなコピペを挙げると

AA略

そうだ
これは夢なんだ
ぼくは今、夢を見ているんだ
目が覚めたとき、
ぼくはまだ12歳
起きたらラジオ体操に行って、
朝ご飯を食べて、涼しい午前中にスイカを食べながら宿題して、
午後から友達とプールにいっておもいっきり遊ぶんだ・・・

 

こういったある種、ラジオ体操行ってスイカ食べてプールに行くという小学生の夏休みの象徴みたいなものが共有されているからこそコピペになりうるわけだ。

 

こういうハイコンテクストなもの、ざっくりと言ってしまえば内輪ネタ的な、ある一定の価値観を共有していないと伝わらないもの、逆に言えばその価値観を共有しているなら雰囲気や特定のワードで文脈が想像出来てしまうものに「エモい」って言葉が使われやすいんじゃないかと思ってる。

 

ハイコンテクストであるからこそ、その背景を全く知らない人にとっては複雑すぎて伝えることが難しく、でも知ってる人にはなんとなく分かってしまう、そんな感情を一言で表すのに便利だったのが「エモい」なんじゃないかな。

まぁそもそも音楽自体を言語化するのって難しいし、自分の感情を他人に分かりやすく説明するのも難しいだろうから、一言でなんとなく説明出来てしまう「エモい」が流行しているってのもありそうだが。

 

また上でストーリー性のあるものと書いたのは、筋道立てているほうがわかりやすく、また感情も揺さぶられやすいだろうから。

あるいはなんらかの文脈が存在したときに、やはりそれぞれの物事の関連性に人間はなんらかの意味づけ、つまりストーリーに仕立て上げてしまう習性を持っているだろうってのもある。

 

対象から想起される文脈が、より複雑で深く鮮明であればあるほどエモ度合いっつーのが高いんじゃなかろうかといったところですかね。